なぜ繁盛店は看板メニューをひとつにするのか?
観光地には、美味しいお店がたくさんあります。
飛騨牛、海鮮、蕎麦、うなぎ、寿司…。
どのお店も魅力的に見える中で、旅行者は限られた時間の中から一軒のお店を選ばなければなりません。
だから、お客様は無意識のうちに、
「どの店を選べば良いんだろう。お店を選ぶ理由がほしい」
と探しています。
そんなとき、
「何でも美味しいです。」
というお店よりも、
「この店に来たら、これを食べてください。」
とはっきり伝えているお店のほうが、お客様の記憶に残ります。
飛騨高山なら飛騨牛。
金沢ならのどぐろ。
浜焼きなら活貝。
看板メニューとは、人気商品ではありません。
その店を選ぶ理由なのです。
さらに面白いのは、お客様の心理です。
例えば、お寿司屋さんが「まぐろ」へのこだわりを徹底的に伝えていたとします。
仕入れ先、熟成方法、切り付け方まで詳しく紹介されていたら、多くの人はこう考えるのではないでしょうか。
「まぐろにこれだけこだわっているなら、他の寿司ネタもきっと美味しいはずだ。」
実際には他のネタを食べていなくても、お客様は一つの強みから、お店全体の価値を判断しています。
だから繁盛店は、すべての料理を同じように宣伝しません。
一つの看板メニューを徹底的に磨き、その価値を伝えます。
その一つの強みが、お店全体への信頼につながることを知っているからです。
看板メニューを作ることが目的ではありません。
本当に大切なのは、
「この店へ行く理由」を、お客様の心の中につくること。
その理由が明確なお店ほど、お客様は迷わず選び、そして人にも勧めたくなります。
繁盛店が育てているのは、看板メニューではありません。
「この店といえば、これ。」
そう思い出してもらえる、お客様の記憶なのです。
