なぜ繁盛店は「送客ポイント」をいくつも持っているのか?

旅行先で、こんな質問をしたことはないでしょうか。

ホテルのスタッフに、

「この辺で、おいしい店はありますか?」

観光案内所で、

「この土地の名物を食べるなら、どこがいいですか?」

タクシーに乗って、

「地元の人なら、どこへ食べに行きますか?」

観光客は、Googleだけを見て飲食店を探しているわけではありません。

知らない土地だからこそ、その土地をよく知っていそうな人に聞きます。

そして、

「あそこなら間違いないですよ」

と言われると、不思議なくらいその言葉を信じます。

店自身が、

「当店はおすすめです」

と言うのとは、まったく違います。

観光地の飲食店を考えるとき、この「地域の人からの紹介」は、とても大切な集客経路の一つです。

私は、こうした地域の中からお客様を紹介してもらえる場所を、

「送客ポイント」

と考えています。

目次

観光客は地域のいろいろな場所で「どこで食べればいい?」と聞いている

観光地には、観光客と接する人がたくさんいます。

宿泊施設。

観光案内所。

交通に関わる人。

観光施設。

土産物店。

商業施設。

そこで働く人たちは、飲食店で働いているわけではありません。

しかし、観光客から、

「この辺でランチするなら?」

「おいしい海鮮を食べたいんだけど」

「地元の人が行く店は?」

と聞かれることがあります。

つまり地域の中では、飲食店が知らないところで、

「どこで食べればいいですか?」

という質問が毎日のように発生しているのです。

それなら飲食店は、その質問が発生している場所そのものを、集客の入口として考えることができます。

地元の人の「ここがいいですよ」は強い

観光客にとって、知らない土地での食事選びには不安があります。

せっかく旅行に来たのだから、できれば失敗したくありません。

Googleで検索すれば、たくさんの店が出てきます。

口コミもあります。

写真もあります。

それでも迷うことがあります。

そんなとき、地元の人から、

「あそこがいいですよ」

と言われる。

すると、一気に候補が絞られることがあります。

なぜでしょうか。

観光客からすると、その人は、

「この土地を知っている人」

だからです。

特に、

「私も行ったことがありますよ」

「○○がおすすめですよ」

「あそこなら大丈夫ですよ」

と具体的に言われれば、安心感はさらに高まります。

店自身が発信する情報とは違う、第三者からの推薦です。

送客ポイントとは「パンフレットを置く場所」ではない

観光地の飲食店では、ホテルや観光施設などにパンフレットを置いてもらうことがあります。

しかし、

「パンフレットを置いてもらったから、送客ポイントが一つできた」

というほど単純ではありません。

パンフレットを置いても、スタッフがその店を知らなければ、

お客様から、

「この店ってどうですか?」

と聞かれても、

「さあ、パンフレットは置いてありますけど……」

で終わってしまいます。

これでは推薦にはなりません。

私が考える送客ポイントとは、

パンフレットが置いてある場所ではありません。

観光客から「どこで食べればいい?」と聞かれたとき、自店を思い出してくれる人がいる場所です。

ここには大きな違いがあります。

「紹介してください」だけでは紹介は続かない

飲食店側から、

「お客様を紹介してください」

とお願いすることはできます。

しかし、紹介する側にも責任があります。

自分がすすめた店へお客様が行って、

「全然よくなかった」

となれば、紹介した側の印象まで悪くなります。

だから、本当に紹介してもらうためには、

「あの店なら大丈夫」

と思ってもらう必要があります。

店を知っている。

どんな料理があるか知っている。

どんなお客様に向いているか知っている。

そして何より、

自分のお客様に紹介しても問題ない店だと思ってもらう。

そこまでいって、初めて本当の意味での送客ポイントになります。

継続して顔を出すことにも意味がある

パンフレットも、置いて終わりではありません。

なくなったら補充する。

新しくなったら持っていく。

そのたびに挨拶をする。

そうやって何度も接点を持つ。

実際には、こうしたことを継続して熱心に行う飲食店は、それほど多くありません。

だからこそ、続けていると、

「よく来る○○さん」

「○○のお店の人」

と、少しずつ認識されるようになります。

店名だけではなく、人まで見えるようになる。

これも大切なことです。

紹介は、パンフレットそのものから生まれるとは限りません。

パンフレットを補充するという行動が、地域の人との接点をつくることもあるのです。

紹介したお客様の声が、さらに紹介を強くする

さらに面白いことがあります。

地域の人から紹介されて、お客様が店へ行く。

食事をして、

「すごく良かった」

と思う。

その後、ホテルへ戻って、

「教えてもらったお店、すごく良かったですよ」

とスタッフに話すことがあります。

すると、紹介したスタッフはどう思うでしょうか。

「やっぱり、あそこを紹介して間違いなかった」

となります。

これは大きなことです。

次に別のお客様から、

「この辺でおすすめありますか?」

と聞かれたとき、以前より自信を持って紹介できます。

そしてまたお客様が店へ行く。

良い感想が戻ってくる。

さらに紹介しやすくなる。

つまり、

店を知ってもらう。

紹介してもらう。

お客様が来店する。

良い体験をする。

その感想が紹介者へ戻る。

紹介者の確信が強くなる。

そしてまた紹介される。

こうした循環が生まれると、送客ポイントはどんどん強くなっていきます。

大切なのは「送客ポイントを何か所持っているか」

一つのホテルから紹介してもらえる。

それだけでもありがたいことです。

しかし、地域の中に同じような場所が何か所もあったらどうでしょう。

ある場所で、

「食事なら○○さんがいいですよ」

別の場所でも、

「○○がおすすめですよ」

また別の場所でも店名が出る。

こうなると、地域そのものが自店への集客導線になっていきます。

だから私は、

自店の周りに「送客ポイント」を何か所つくれるか

という視点が大切だと考えています。

Googleの検索順位だけを見る。

Instagramのフォロワー数だけを見る。

広告だけを見る。

それだけではありません。

自店の周りを見渡して、

「観光客から食事について聞かれている人は、どこにいるだろう?」

と考えてみる。

観光地だからこそ使える集客の考え方です。

自分たちが観光案内人になる。その逆も考える

飲食店自身が、観光客に地域の情報を教えてあげることは大切です。

「次はどこへ行くんですか?」

「それなら、ここもおすすめですよ」

と地域を案内する。

飲食店も旅の一部になる。

しかし、今回はその逆です。

地域にはすでに、

観光客からさまざまな質問をされている人たちがいます。

その人たちもまた、地域の案内人です。

ならば、

その人たちは自店を知っているだろうか。

どんな料理を出しているか知っているだろうか。

観光客から、

「どこで食べればいいですか?」

と聞かれた瞬間に、自店の名前を思い出してくれるだろうか。

ここまで考えてみる。

自店だけで観光客を集めようとするのではなく、地域の中にすでに存在する「案内する力」を活かすという考え方です。

原島 純一の視点

観光地の飲食店では、GoogleやSNSだけではなく、地域の中にどれだけ送客ポイントをつくれるかという視点も大切だと思っています。

送客ポイントとは、単にパンフレットを置いてもらった場所ではありません。

観光客から、

「この辺でおいしい店はありますか?」

と聞かれたとき、

「あそこがいいですよ」

と自店を思い出してくれる人がいる場所です。

そして、その関係は一度お願いしただけでできるものではありません。

店を知ってもらう。

料理を知ってもらう。

何度も顔を合わせる。

紹介されたお客様に満足してもらう。

そして、そのお客様の良い感想が地域の人へ戻っていく。

そうして、

「あそこなら間違いない」

という信頼が少しずつつくられていきます。

観光地には、すでにたくさんの「地域の案内人」がいます。

大切なのは、

「紹介してください」とお願いすることではなく、観光客から聞かれたときに、自然と自店の名前が出てくる関係を地域の中にどれだけつくれるか。

私は、その積み重ねが、観光地の飲食店にとって非常に強い集客力になると考えています。

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